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協会の理念
財団法人 日本数学検定協会
国際競争は今後も様々なかたちで続く。日本の人たちのほとんどが英語を話し、携帯電話やテレビでインターネットを経由しながら情報交換することが当たり前になった時代に、人びとは何に価値を見いだし、どのような競争を繰り広げていくのだろうか?
国際社会に共通のものを学習し身に付けようとする努力は続いている。世界は国際社会の抽象化に動いている。ここでいう抽象化とは物事の共通性を見出し統一した理論や普遍性を追求するという、抽象化の本来の意味である。分かり易くするという意味も含んでいる。つまり、人びとは国際社会を数学的に眺める動きをしてきているということである。
人間社会の持つ本質的問題と戦っている。世界の大勢の人びとは、60億人の人口を支える食糧問題と戦い、これらの人びとが生きていくための地球環境問題と戦っている。
個人レベルで、これらの問題と戦っていくための学習をし、会話をし、企業で仕事をすることになる。かつては、隣の国と戦争をするために、戦争に勝つために学習し、会話をし、仕事をした時代もあった。インターネットもない誠に狭小な心が人びとに宿っていた時代である。
われわれ人間自身が、人間を観察し、人間の成り立ちや人間の発生メカニズムを科学的に把握し、その気になれば、人間そのものを様々なかたちでコントロールすることができる。自己言及の時代である。
人間が自然と戦っていた時代とよく似たかたちで、人間が人間と戦うことになるのである。様々な矛盾を内包し、自然を切り開き、自然破壊をもたらした時代とは比べものにならないほどの危険性を孕んだ社会が間もなくやってくる。
このような時代に、われわれは本質的な問題解決をするため、世界的生涯学習社会の構築に向けて活動しようと考えている。
財団法人日本数学検定協会は、数学をグローバル基幹文化と捉え、数学の世界中の学習者を通して先の根本的問題解決に該っていきたい。数学力とは情報交換する力である。世界の人々の数学力を向上させるために、グローバルに「数検」を普及させていく計画である。
「数検」は数学の学習指標である。1990年の時点で日本には学校を卒業した後、数学を学習しようとする人はほとんどいなかった。ところが、数学検定制度である「数検」が実施され、10年後の1999年には「数検」の受検者が年間10万人に達したのである。
これは他国に先駆けて我が国で数学が生涯学習になったことを意味し、数学が生涯学習になる時代が来ることを証明している。
1997年には、インドネシアから「数検」を導入したいとの熱心な働きかけがあり、2000年には、韓国に韓国数学検定協会が発足する運びとなった。
このことは、「数検」が数学の学習動機となり、グローバルに数学の学習機会を提供する世界的生涯学習になることを示唆している。
数学がグローバル基幹文化として、世界的生涯学習になることは大きな意味がある。音楽やスポーツのように楽しみのために数学が学習の対象となり、茶の間で数学の話ができる様子は、その国民がいかに知的レベルが高いかを示す。
フラクタルの美しい模様を織り込んだシャツやスカートを身につけた人たちが、その模様について会話を楽しんでいる生活空間。
21世紀の知的基盤に数学をおく必要がある。基礎力のないところに企業倫理などあり得ない。高度情報社会における人間に求められる倫理観は、20世紀のそれとは比較にならなぬほど。「安全」と結びついている。
人が自然との一体感を感じていた時代と同じほど、人の倫理観と社会の安全が近い距離にある。人の数学力を高めることは高度情報社会の安全性の確保に直結し、ひいては企業倫理を向上させることになるのである。
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